令和元年度通常総会(令和元年6月26日機械振興会館にて開催)での質疑・承認を経て、平成30年度APSOM事業報告書を東京都に提出しました。東京都のNPO法人ポータルサイト(以下)にて公開中です。 http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/houjin/npo_houjin/
平成30年度 事 業 報 告 書
平成30年4月1日 から 平成31年3月31日まで
特定非営利活動法人ものづくりAPS推進機構
1 事業の成果
「普及啓発と市民ネットワーク推進事業」
「普及啓発と市民ネットワーク推進事業」では、ものづくりITの新潮流(EU発のIndustrie4.0、米国のIndustrial Internet、日本におけるRRI/IVI/IOT推進コンソーシアムの動向など)を踏まえて産業応用委員会を再編し、広くものづくり企業に呼びかけ、ものづくり懇話会を隔月で開催し、有識者を招いて、ものづくり現場のITのありかたとその社会実装の方策について、産学の意見交換の場として活動を続けてきた。
また、並行して、ディジタルものづくりプラットフォーム構想のもと、受注設計生産型の中小中堅企業の参加を募って活動を進め、平成28年7月より、新潟県新潟市の企業を中核とし、燕市の企業2社を含めた3社でツバメプロジェクトをキックオフし、異業種企業の仮想コンビナート化を視野に、平成29年3月の新潟県新潟市における講演会併催の形の産業応用委員会で地域(新潟市)関係者との連携を模索するなど、地域ものづくり連携支援活動を推進中である。
平成29年度には、上記、受注設計生産型の企業集団3社にて、ITを活用した企業連携業務プロセスを検討し、個別設計生産形態の生産プロセスの課題抽出と実績データの分析に取り組み、改善対象工程とプロジェクト工程管理のモデル化を検討した。(以上、平成28年度事業報告、平成29年度事業報告にて報告の通り)
平成30年度に入り、上記モデル化の基盤となるデータ収集・共有の仕組みの構築を支援した。この活動結果を地域協働のベースモデルとするため、実証モデルを提案した。
このモデルを含む3社の連携企業体として、平成30年度の国の補助事業へ応募し、採択された。採択された企業間連携モデルの実装を支援して、事業が申請どおりに実施されて完遂した。
平成31年度(令和元年度)には、さらに、この企業間データ連携基盤を活用した、企業間連携業務のバリューチェーン管理の検討に着手する予定としている。
「国内および国際標準化推進事業」
「国内および国際標準化推進事業」では、既報のように、平成27年度より、製造現場のスマートファクトリー化、エッジ化/IOT化に即した、生産システムの階層間クロス連携に向けた新たなDSL(Domain Specific Language、領域定義言語)としてiHClを仕様開発し、引き続き平成28年度に、同仕様をAPSOMの委員会ドラフトとしてまとめ、MESX-JP内に評価ワーキンググループを立ち上げて、平成28年11月より、同仕様の評価用システムの実装作業を開始し、平成29年度に入り実証実験システムの実装を完了し、平成29年7月に、予め定義した検証用テストシナリオにもとづき実行評価を行い、その実行可能性/有用性を実証確認した。
実証評価による確認を終えた後、同仕様の英文ドラフト案を以って、平成29年8月クリーブランド(米)にて開催のISO/TC/184/SC5国際会議において、TR(テクニカルレポート)化の提案を行い、その後、ISO-TR16161の発番を受け、平成29年12月の釜山(韓国)国際会議においては、当機構加藤委員が出席して、直接内容の説明/コメントへのフィードバック/ディスカッションを行った。同国際会議において寄せられたコメントを反映しドラフトを改定した結果、平成30年2月のパリ(仏)国際会議において、正式にNP+CD投票(New Work Item Proposalと委員会ドラフト化可否の同時投票)ステージに移行した。(以上平成29年度事業報告にて報告の通り)
平成30年度に入り、5月25日期日の国際投票の結果(NP可決/CD否決)を踏まえ、平成30年5月末の大阪(日本)ISO/TC184/SC5国際会議において、寄せられたコメントへ対応、その後、平成30年8月の国内対策会議を経て、9月のストックホルム(スウェーデン)国際会議にてDTR(ドラフト・テクニカルレポート)投票ステージへ移行し、11月21日期日の国際投票により承認された。この結果を受け、12月のミルウォーキー(ドイツ)国際会議にて一部を修正の上での出版が了解され、現在ISO-TR16161として出版の準備が進んでいる(2019/06に出版フェーズに移行)。
「国内および国際標準化推進事業」では、これと並行して、iHClの内容、メリットをわかりやすくホワイトペーパーとしてまとめ、平成31年1月にAPSOMホームページにて広く一般に向け公開した。さらには、日本規格協会の「平成31年度(令和元年度)JIS原案作成公募制度」に応募し、「製造業向け分散連携システムの構成方法並びにプロトコル及びメッセージ」として採択され、平成31年度(令和元年度)に、日本規格協会とAPSOMの間で原案共同作成事業契約を締結して、JIS原案作成委員会を設置し、令和元年(2019年)11月の原案完成を目指して活動を開始する計画となっている。
平成31年度(令和元年度)は、ISO-TR16161出版に続きJIS化を目指す活動を開始し、デジュール化活動を継続強化するとともに、iHClの適用事例/ユースケースの収集開発、委員会メンバーの拡大、仕様を拡張したiHCl-2.0の実装実証試験等、デファクト化に向けた活動を活発化する計画である。
以上、平成30年度は、「普及啓発と市民ネットワーク推進事業」における、個別設計生産形態の生産プロセスの地域協働のベースモデル化に向けた活動、あるいは、「国内および国際標準化推進事業」における、階層間連携言語iHClの、ISO-TR化及びJIS化へ向けた活動等を含めたデジュール化・デファクト化並進活動など、いずれも複数年にわたる地道な活動の成果が実を結びつつある。
これらに加え、『APSOM2020:IOT/エッジ/クラウド時代の「ものづくり・ことづくり」』と題した、平成30年12月開催のAPSサミットシンポジウムにおいては、IVI-CIOF(コネクテッド・インダストリーズ・オープン・フレームワーク)より「Connected Industries」推進の立場から、PSLXに対する期待が表明された。APSOMの前身となるPSLXコンソーシアム設立から18年、一貫して提唱してきたものづくりITにおける情報連携の仕組みを、来るべき2020年、さらにその先のデータエコノミー時代に向けさらに価値あるものとすべく、関連諸企業・機関・団体との連携を深めながら、今後とも引き続きものづくりITの基盤技術開発と普及啓発に注力する。
2 事業実施に関する事項
(1)特定非営利活動に関わる事業
事業名 | 事業内容 | 実施
日時 | 実施
場所 | 従業者の人数 | 受益対象者の範囲及び人数 |
普及啓発と市民ネットワーク推進事業
普及啓発と市民ネットワーク推進事業(続き)
| 【APSサミットシンポジウム】
・ものづくりAPSが提唱する新しいものづくりITの仕組みの普及を目的に、多くの一般市民へ情報発信し、また情報収集・情報交換を行うため、『APSOM2020:IOT/エッジ/クラウド時代の「ものづくり・ことづくり」』と題し、APSサミットシンポジウム2018を開催した。 ・第一部;基調講演1題、講演1題+ライトニング・トーク&質疑応答、第二部;APSOM活動報告(速報含め2題)の二部構成とし、活発な質疑及び意見交換が行われた。 | 12/5
(13:15
-17:00) | 東京都港区機械振興会館
地下3階
研修1会議室 | 25人 | ものづくり知識に関心をもつ一般市民、有識者、約90名、他不特定多数 |
【ツバメプロジェクト】
平成29年度に、新潟県新潟市の企業を中核とし、燕市の企業2社を含めた受注設計生産型の企業集団3社と共同で、ITを活用した企業連携業務プロセスを検討し、個別設計生産形態の生産プロセスの課題抽出と実績データの分析に取り組み、改善対象工程とプロジェクト型工程管理のモデル化を検討した。
これを将来に向けた地域協働のベースモデルとすべく、平成30年度は、基盤となるデータ収集・共有の仕組みの構築を支援した。
この活動結果を地域協働のベースモデルとすべく活動を継続強化し、平成30年度の国の補助事業へ応募し、採択された。採択された企業間連携モデルを構築して事業を完了した。
平成31年度は、この企業間データ連携基盤を活用した、企業間連携業務のバリューチェーン管理の検討に着手する計画とする。 | 2018年
05/23、
06/13、
07/25、
08/28、
09/26、
10/22、
11/22、
12/26、
2019年
02/20、
03/28、 | 東京都港区機械振興会館
会議室、
Spacee(貸会議室)、新潟県新潟市(株)ツバメックス金型工場会議室、他 | 10人 | 地域のモノづくりに係る企業人、有識者不特定多数 |
【ものづくり懇話会】
産業応用委員会にて隔月で「ものづくり懇話会」を開催し、有識者を招いてものづくり現場のITのありかたとその社会実装の方策についてディスカッションを行った。
H30年度実施:
第一回「デンソーにおけるアジャイル開発及びFactory IOTについて」 第二回「大和ハウスグループのロジスティクス・ソリューションについて」 第三回「OSS活用によるアプリケーション開発とソフト内製化の課題」 第四回「IOTの国際標準化状況とSMKL(スマートマニュファクチャリング改善レベル)について」 第五回「産業分野における日立のIoTへの最近の取り組み状況」 | 2018年
05/16、
07/11、
10/23、
2019年
01/29、
03/05、
| 東京都港区機械振興会館6階会議室
(株)フレームワークス DPL市川ショールーム、他 | 19人 | ものづくり知識に関心をもつ有識者不特定多数 |
【PSLXフォーラム】
Webサイトを利用して、ものづくりAPSの標準仕様に関心を持つ一般市民を対象にフォーラムを運営した。 | 通年 | Webサイト他 | 4人 | ものづくりに関心をもつ一般市民不特定多数 |
国内および国際標準化推進事業
| 【MESX-JP】
iHCl-1.0の実証評価による確認を終え、同仕様の英文ドラフト案を以って、H29/08クリーブランド(米)のIOS/TC184/SC5国際会議において、TR(テクニカルレポート)化の提案を行った。ISO-TR16161の発番を受け、H29/12の釜山(韓国)国際会議を経て、H30/02のパリ(仏)国際会議において、NPステージに移行(承前)。H30/05の大阪(日本)国際会議の後、H30/09のストックホルム(スウェーデン)国際会議にてDTR(ドラフト・テクニカルレポート)投票ステージへ移行し、H30/11/21期日の国際投票により承認された。H30/12のミルウォーキー(ドイツ)国際会議にて一部を修正の上での出版が了解され、ISO-TR16161として出版の準備が進んでいる。
上記と並行して、iHClの内容、メリットをわかりやすくホワイトペーパーとしてまとめ、H31/01に一般に向けAPSOMホームページにて公開した。また、日本規格協会の「平成31年度(令和元年度)JIS原案作成公募制度」に応募、「製造業向け分散連携システムの構成方法並びにメッセージ及びプロトコル」として採択され、平成31年度(令和元年度)は、日本規格協会とAPSOMの間で原案共同作成事業契約を締結し、JIS原案作成委員会を設置して、令和元年(2019年)11月の原案完成を目指して活動を開始する計画としている。 | H30年
04/05、
05/10、
06/07、
07/05、
08/09、
09/20、
10/11、
11/20、
12/20、
H31年
01/22、
03/04、
| 東京都港区機械振興会館6階会議室ほか | 14人 | ものづくり知識に関心をもつ研究者、有識者不特定多数 |
技術調査および国際交流事業 | 【OASIS-PPS】
標準仕様の勧告版に対し、その活用方法や事例などの技術情報を充実させるとともに、国際的な普及を目指して国際的な標準への策定活動を支援した。 | 通年 | 法人事務所、法政大学他 | 5人 | ものづくり知識に関心をもつ有識者不特定多数 |
基盤技術開発および整備事業
| ・新たなものづくりの時代のニーズに答えるべく、技術動向を調査した。
・他社/他団体の各種報告のAPSOMレファレンスモデル参照につきフォローした。 | 通年 | 法人事務所、関連企業・団体拠点他
| 4人 | ものづくり知識に関心を持つ研究者、企業、有識者他、不特定多数 |
技術教育および能力認定事業 | IOT、Connected Industry時代に求められる技術、スキルにつき抜本的な見直しが必要との判断から、平成30年度は実施を見送った。 | – | – | – | ものづくり知識に関心をもつ企業不特定多数 |
(2)その他の事業
事業名 | 事業内容 | 実施
日時 | 実施
場所 | 従業者の人数 | 受益対象者の範囲及び人数 |
翻訳事業および電子化を含む出版事業 | ものづくりAPSの普及啓発に参考書等を出版する予定であったが、特定非営利事業の活動を優先し、今年度は実施を見送った。 | 次年度以降に実施予定 | - | - | - |